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一般社団法人での医療機関の開設方法とメリット・デメリットとは

医療機関の開設には様々な形態があり、その一つが一般社団法人を活用した方法です。一般社団法人は、特定の目的を持つ団体が法的に認められる法人形態であり、医療機関の設立においても選択肢の一つとなります。ここでは、一般社団法人を用いて医療機関を開設する方法やその特性について詳しく見ていきます。

 

一般社団法人とは

一般社団法人は、法人格を持つ組織であり、特定の共同の目的を持つ個人や法人が、その目的を達成するために設立される団体です。非営利を目的とする法人の一つであり、社会的活動や福祉活動など様々な分野で活動しています。医療機関の設立においても、一般社団法人はその枠組みとして選択肢の一つとなります。

 

一般社団法人での医療機関の開設とは

医療機関を一般社団法人として開設する場合、医療法人とは異なる手続きや要件があります。一般社団法人は、医療法人と比べて非営利性が強調され、その活動が社会的な公益性を持つことが求められます。設立や運営にあたっては、法人としての規定に加えて医療関連の法規制も遵守する必要があります。

 

医療法人でなく診療所や病院を開設する方法

一般社団法人での医療機関の開設には、診療所や病院などの施設を設立する方法があります。医療法人との違いは、法的な枠組みや目的の明確化にあります。一般社団法人は営利を目的としないため、その運営方針や収益の利用には注意が必要です。

 

個人での開設と一般社団法人での開設の違い

医療機関を医師個人と法人で行う場合、税制面、事業承継、退職金などには以下のような違いがあります。

 

【税制面】

  • 医師個人の場合:医師個人が医療機関を運営する場合、所得税や法人税の負担が個人にかかります。医療機関の収益は医師個人の所得として課税され、最高で55%になることもあります。
  • 一般社団法人の場合:法人が医療機関を運営する場合、法人としての所得税や法人税が適用されます。法人税率は医師個人の所得税率よりも低い場合がありますが、ただし医師個人には給与所得者になるため給与所得控除の制度が適用されます。

 

【事業承継】

  • 医師個人の場合:医師個人が医療機関を運営する場合、その事業は個人の資産と密接に関連しています。そのため、医師個人の事業承継は個人資産の移転や売却といった形で行われることが一般的で、その場合多額の相続税がかかることになります。
  • 一般社団法人の場合: 法人が医療機関を運営する場合、法人としての独立性があり、医師の個人的な事情に左右されずに事業の継続が可能です。法人の株式や事業を他の個人や法人に譲渡することで事業承継を行うことができます。

 

医療法人での開設と一般社団法人での開設の違い

医療機関の開設を医療法人と一般社団法人で行う場合、税制面、事業承継、退職金などには以下のような違いがあります。

 

【税制面】

  • 医療法人の場合:医療法人は法人として税金を納めるため、所得税や法人税が適用されます。医療法人は一般的に低税率であるため、医療機関の収益を法人としての利益として処理することで、税制上のメリットを享受することができます。
  • 一般社団法人の場合:一般社団法人も法人として税金を納めるため、所得税や法人税が適用されますが、医療法人よりも税制上の優遇措置は限定されます。一般社団法人は非営利を目的とするため、税金の控除や免税の対象となる場合がありますが、医療機関の収益が社会貢献に繋がることが求められます。

 

【事業承継】

  • 医療法人の場合:医療法人は法人として独立した存在であり、役員や組織の変更によって事業の継続が比較的容易です。株式の譲渡や役員の交代などによって、事業を承継することが可能です。
  • 一般社団法人の場合:一般社団法人は非営利を目的とする組織であり、その事業の継続は個々の役員や会員の判断に左右されます。役員や会員の交代に伴い、事業の継続や変更には十分な合意が必要です。

 

これらの違いを踏まえると、医療機関の経営形態を選択する際には、税制上のメリットや事業の継続性、従業員の福利厚生などを総合的に考慮する必要があります。

 

一般社団法人による開設・保健所の審査のポイント

一般社団法人による医療機関の開設において、保健所の審査で重視されるポイントは以下の通りです。

 

非営利性の徹底

医療機関が一般社団法人として運営される場合、その非営利性が重要視されます。保健所は、医療機関が社会的貢献を目的とし、収益を営利目的でなく公益のために利用することを求めます。組織の運営方針や財務報告書などから、非営利性の徹底が確認される必要があります。

 

設立目的の適切性

医療機関を一般社団法人として設立する場合、その設立目的が適切かどうかが審査のポイントとなります。保健所は、医療機関が地域の医療ニーズに適切に対応し、地域住民の健康増進や福祉に貢献することを求めます。設立目的が明確で社会的貢献性が高いことが重要です。

 

資金計画の妥当性

医療機関の運営には多額の資金が必要となります。保健所は、医療機関が適切な資金計画を持ち、その資金を適切に運用し、医療サービスの安定的な提供が可能であることを求めます。財務計画書や資金調達計画などの提出が求められる場合があります。

 

代表理事の選定ポイント

   – 代表理事は一般社団法人の運営において重要な役割を果たします。医療機関を一般社団法人として設立する際には、代表理事の選定が審査のポイントとなります。保健所は、代表理事が組織の使命や目標に共感し、経営能力やリーダーシップがあるかどうかを評価します。また、医療業界や地域社会において信頼性が高いことも重視されます。

 

これらのポイントを満たすことが、保健所の審査をクリアし医療機関を一般社団法人として設立するための重要な条件となります。

 

一般社団法人で医療機関を開設することのメリット

医療機関を一般社団法人で開設する場合のメリットは以下の通りです。

 

迅速な設立手続き

一般社団法人の設立は法務局での登記のみで行われるため、短期間で設立が可能です。医療機関の開業を待たずにいつでも設立できるため、事業展開のスピードが向上します。特に、急な事業展開や計画変更が必要な場合に有利です。

 

業務の多様性と制約の緩和

一般社団法人は、医療法人に比べて業務の制約が緩和されています。例えば、医療介護以外の業務も行うことが可能であり、医療機関にとどまらず、健康教育や地域貢献活動など、多様な活動を展開することができます。また、株式投資などの制約も受けることがありません。

 

代表者の柔軟性

一般社団法人の場合、代表者に医師や歯科医師である必要はありません。これにより、医師や歯科医師以外の専門家やスタッフが代表者となることも可能です。医師や歯科医師以外の人材が代表者として活躍することで、組織の多様性や専門性を活かした運営が可能となります。

 

以上のように、一般社団法人で医療機関を開設することで、迅速な設立手続き、業務の多様性と制約の緩和、代表者の柔軟性などのメリットがあります。これらの特性を活かして、より柔軟かつ多彩な医療サービスや社会貢献活動を展開することが可能です。

 

一般社団法人で医療機関を開設することのデメリット

医療機関を一般社団法人で開設する場合のデメリットは以下の通りです。

 

保健所審査の厳格化

一般社団法人で医療機関を開設する場合、保健所の審査が厳しくなる傾向があります。一般社団法人での医療機関の開設はまだ先例が少なく、規制や基準が確立されていないことが多いため、審査の難易度が高くなることが予想されます。準備を万全に行わなければならず、審査を通過するためにはより高い基準を満たす必要があります。

 

非営利性の維持の難しさ

医療機関を一般社団法人で運営する場合、非営利性の原則が求められます。しかし、役員のうち親族がしめる割合が3分の1を超えると、法的に営利法人と見なされる可能性があります。この場合、医療機関は非営利性を維持するための税制上の優遇措置が失われる可能性があります。営利法人として扱われることで、税金の負担が増加したり、各種の税制優遇措置が適用されなくなるため、経営の健全性や持続可能性に影響を及ぼす可能性があります。

 

これらのデメリットを考慮すると、医療機関を一般社団法人で開設する際には、保健所審査の厳格化や非営利性の維持に関するリスクに注意しなければなりません。十分な準備と慎重な計画立案が求められます。

 

★ポイント★

医療法人での医療機関開設の場合、医療機関を事業継承する方法も選択が可能です。一般社団法人での医療機関開設はまだまだ件数が少なく、事業継承可能な医療機関が少ないです。

事業継承での医療機関開設では、初期費用を抑えられることや既存の医療機関の患者様も引き継ぐことが可能です。

医療機関の開設の際は併せて検討することがおすすめです。

 

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一般社団法人から公益法人へ

一般社団法人から公益法人への移行も可能です。公益法人に移行することで、税制上の優遇措置を受けることができるなど、様々なメリットがあります。ただし、移行には一定の要件や手続きが必要となりますので、慎重な検討が求められます。

 

まとめ

一般社団法人を活用して医療機関を開設する際には、法的手続きや目的の明確化が重要です。メリットとデメリットを十分に把握し、適切な選択を行うことが医療機関の持続的な成功に不可欠です。一般社団法人を利用することで、法的枠組みの柔軟性や社会的貢献の実現など、多くのメリットが存在します。しかし、非営利性の厳格な運営や資金の調達の難しさなど、デメリットも念頭に置く必要があります。

一般社団法人で医療機関を運営する場合、設立から運営、そして将来の展望までを含めた総合的な戦略が求められます。また、保健所の審査をクリアするためには、設立目的や資金計画、代表理事の選定など、様々な要素を準備する必要があります。

 

医療機関は地域社会にとって重要な存在であり、その運営は社会的責任を伴います。一般社団法人を通じて医療機関を運営することで、地域の医療ニーズに応えるだけでなく、社会貢献の一翼を担うことが期待されます。

最後に、一般社団法人から公益法人への移行も選択肢の一つです。公益法人への移行にはさらなる責任と義務が伴いますが、税制上の優遇措置や信頼性の向上など、様々なメリットがあります。組織の成長や発展を見据え、適切な戦略を検討することが不可欠です。

 

一般社団法人で医療機関を開設することは、医療の提供だけでなく、社会貢献や地域への貢献といった大きな使命を担うことにつながります。これらの検討や努力を通じて、より良い医療サービスの提供と地域社会の発展に貢献することが期待されます。